Journal of Bone and Mineral Metabolismに、当社の基盤技術を用いて製造されたヒト脂肪細胞由来血小板様細胞の急性期腱障害の炎症抑制効果に関する論文が掲載されました
当社の基盤技術を用いて製造されたヒト脂肪細胞由来血小板様細胞の腱障害の治療効果に関する論文である“Platelet‑like cells differentiated from adipose‑derived mesenchymal stem cells inhibit acute inflammation of tendinopathy in rats”が、Journal of Bone and Mineral Metabolismに掲載されました。踵骨付着部の切開によるラットアキレス腱障害モデルを作成し、ヒト脂肪細胞由来血小板様細胞を投与し抗炎症効果を検討ところ、急性腱炎症における炎症性サイトカイン発現および炎症性細胞浸潤を有意に阻害することが確認されました。ヒト脂肪細胞由来血小板様細胞が腱障害の有効な治療方法となるうる可能性が示されております。
https://doi.org/10.1007/s00774-025-01647-2
腱障害は、手や手指などを動かす筋肉と骨を繋ぐ腱や、その付着部の炎症に基づく障害です。腱障害は、肘、踵部、肩、膝など、四肢関節部に好発し、物を持つ、ドアノブを捻る、歩くなどの動作時に鋭い疼痛を生じ、労働、スポーツ活動のみならず日常動作にも支障をきたすものです。一般に、腱障害は、労働やスポーツにおける反復動作や、加齢による腱付着部の変性・微小断裂に起因し、一度発症すると症状が改善せず、難治性となり、何年にもわたり疼痛に悩まされる例も多く存在します。治療法としては、非ステロイド性抗炎症剤の内服や外用、ステロイド剤局所注射、理学療法、超音波療法、体外衝撃波療法、装具療法、手術治療などの多種多様な治療法が適用されておりますが、未だ決定的な治療法は確立されておりません。
当社は、慶應義塾大学医学部スポーツ医学総合センター松原由美子訪問教授らによる研究成果を基盤として、ヒト脂肪細胞由来血小板様細胞を主成分とする再生医療等製品の事業化を目的として2016年7月に設立されました。
ヒト脂肪細胞由来血小板様細胞については、難治性皮膚潰瘍の治療向けに、慶應義塾大学での臨床研究を完了しており、現在、早期の国内における企業治験の開始に向けた準備を進めております。
ヒト脂肪細胞由来血小板様細胞は、組織の修復や再生に有効な成長因子(サイトカイン)を豊富に放出するとの特徴を有していることから、今後、腱障害をはじめとして、組織の修復や再生に関連する治療分野における開発を行う計画であります。